けいこの日記

読んだ本の感想などを語っています。

樺沢紫苑著『病気を治す感情コントロール術』を読んで

 思い起こせば5年前、私はベッドに横たわり、どうやって死のうかということばかり考えていましたー

 

 当時、40代も後半だった私は内向的な性格で、対人関係に非常に苦手意識をもっており、そのせいか仕事も長続きせず転々としており、結婚も出来ずに悩んでいました。

2年程続いた契約の仕事もやはり上手く馴染めず、またしても辞めることになり、私はこれまでになく落ち込むようになりました。

 

 (こんな性格ではもう仕事をしていけない。収入も無く一人孤独でこの先どうやって生きていったら良いのだろう....。) 自己肯定感も低かった私はさらに他人とのつながりを避け、引きこもっていきました。 (自分が生きている限り、この性格のせいで人生が上手くいかなくなる。)ーと思った私はこれ以上生きていてはいけないと思うようになっていったのです。

 

 市内のクリニックのカウンセリングに行ってみたものの私の悩みは解決せず、時だけが過ぎていきました。 当時私は80代の父と認知症を発症した母と暮らしていましたが、「どうして自分をこんな性格に生んだのか?」と父を責めるばかりで家事も出来なくなってしまいました。 その対応に父までもが疲弊し鬱状態になった頃、私の兄弟達が私を病院の精神科へと連れて行きました。 そこで私は“鬱”であると告げられたのです。

 

 私は自分がメンタル疾患であるとはとても信じられず、「病気ではない。」と否認を続けました。 私のような状況になれば誰でも平気ではいられないし、正常な反応なのだと抵抗しました。 しかし、医療保護入院という強制入院の措置が取られました。

 

 入院しても私は自分が病気だとはどうしても認められず、服薬にも否定的でした。 自分をこれ程まで苦しめる悩みが薬で解決するとは思えなかったのです。 そして入院中は仕方なく従っていても、退院すると再び薬を飲まなくなり、状態は逆戻りとなったのです。 ある時期焦ってまた働いてみたりもしましたが、再び上手くいかなくなりまた落ち込むということの繰り返しで、私は何度も入退院を繰り返しました。

 

 昨年秋、最後に退院してからはようやく落ち着きを取り戻し、病気を受け入れ始めました。 (もう二度と入院したくない。 家族にも迷惑をかけたくない。)との思いから、その後は薬をきちんと飲むようになり、訪問看護も受け入れるようになりました。 最初は、私のような悩みをもっていない主治医の先生や看護師さんに話をしても何も分かってはもらえないだろうし、解決もしないと思っていましたが、話をすることで心が落ち着き、自分の気持ちが整理されていきました。 特に看護師さんはいつも辛抱強く私の話を聞いて下さいました。 私は随分と心が楽になり、自分を客観的にみられるようになっていきました。

 

 今年に入り、兄が経営する会社でも手伝いをさせてもらえるようになり、次第に気持ちが上向きになっていきました。

 

 そんな時、YouTube動画で精神科医の樺沢先生のことを知ったのです。 先生は朝散歩を勧められており、私は早速やってみることにしました。 すると1週間も経った頃、私は自分がとても前向きな気持ちになっていることに気付いたのです。

 

 その後、樺沢先生のファンクラブに入会したり、出版記念講演会に参加したり、SNSで樺沢先生つながりの方々と交流が出来たりと、私の生活は彩りのあふれたものへと変化していきました。 また樺沢先生の著書『アウトプット大全』を読み、本を読んだら感想をブログに掲載するようにもなりました。 そしてその結果、感想キャンペーンで2度も優秀賞をいただくことが出来たのです。 この出来事は私にとって大変大きな喜びであり、励みになりました。 そして、話す事にはまだ苦手意識がある反面、書いて表現することが楽しいと思えるまでになりました。

 

 『病気を治す感情コントロール術』を読み、私は過去数年間病気を「否認」し、入退院を繰り返すという「足踏み」をしていたのだと気付きました。 そして薬や訪問看護を「しょうがない」と受け入れー「取引」、朝散歩等をして治療に対して真摯に向き合うようになりました。ー「受容」 また訪問看護により、感情を言葉で表現出来るようになり、上手くガス抜きが出来るようになったと感じています。

 

 これまで最も有難いと思えたのは、主治医の先生、看護師さん、樺沢先生、そしてその繋がりを含むSNS上の繋がり、家族、ペットの文鳥等様々な方々との繋がりです。 私はこれらの繋がりによって、大きな挫折から立ち直ることが出来たと思っています。 とてもつらい経験でしたが、もし“鬱”にならなければ精神科医の樺沢先生とのご縁も無かったであろうと思うと、今はメンタル疾患になってしまったことも有難いことだと思えるようになりました。ー「感謝」

 

 『病気を治す感情コントロール術』のお陰で過去数年間の自分を振り返り、整理することが出来ました。 この場を借りましてお礼申し上げます。

 

 この感謝の気持ちをこれからも忘れず、今ある繋がりを大切にしつつ少しでも他者に貢献していけるようになりたいと思います。 私の経験が少しでもどなたかの役に立てることを願いまして、この辺りで筆を置きたいと思います。

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